小樽市祝津、鰊御殿のすぐ近くにある「八田尚之文学碑」。八田尚之は劇作家で、この碑には「がんぜ」という詩が刻まれています。この詩の一説に「おれたちはふりちん」とあります。他にも「がんぜ」とは北海道方言でエゾバフンウニのことなのだそうです。作者の子供のころはウニを採って昼飯にしたものが今では高級な食べ物となってしまったという詩で、昔を懐かしむ想いなどがつたわってきます。ちなみに「おれたちはふりちん」の意味はそのままですね。
〜以下、文学碑より引用〜
夏休みなると/おれたちは道ばたの/ざっぱ木を拾い拾い赤岩ポントマルへ/毛コのはえた兄分は褌(ふんどし)/おれたちはふりちん /それっともぐり/一尋(ひろ)二尋きび悪いほど/青い岩肌に/めんこいがんぜ一つ二つ/腹時計がおひるになる/ざっぱ木のたき火に/がんぜのへそをぬいてほうりこむ /こんがり焼けたがんぜが/おれたちのひるめしだ/夕焼けると/みんなの唇は茄子(なす)色/ほら 鴉(からす)が家さかえってくぞ /おらたちもかえるべ/冷えてちぢまりきった/皆のきゅうすを揃(そろ)え/一二の三/おしっこの消火だ/ああ あのがんぜが/出世して高価高貴の珍重味とは