先日の昼、勝納埠頭のあたりまで車を出して、海の見えるレストランであんかけ焼きそばを食べてきました。港の近くに用があって、そのついでです。この年になると昼飯を「近いから」で決めることが増えましたが、その日はわざわざ遠回りをしました。窓の外に水面がある席というのは、それだけで箸の進み方が変わります。

運ばれてきたのがこの一皿です。黒い鉄の皿にとろみのあるあんがなみなみと張って、縁のあたりで小さな泡がぷつぷつと立っている。もやし、ざく切りのキャベツ、玉ねぎ、ピーマン、細切りの人参、それに豚肉らしい薄切りが、あんの中に沈んで見え隠れしています。真ん中あたりに白い卵がひとつ転がり、向こう側に紅生姜。麺はどこにも見えません。あんの下です。
あんを崩すところから始まる
私はいつも縁のほうから崩します。あんをよけると下から麺が出てきて、焼き目の強いところは香ばしく、あんを吸ったところはもう柔らかくなっている。同じ皿の中で食感が二段階あるのが、この料理のいいところだと思っています。熱いので、急がずに食べる。若い頃は一気にかき込んでいましたが、今は舌を焼かない程度の速度がちょうどいい。食べ終わる頃には、汗をかいて上着を脱いでいました。
どこで食べるか、という楽しみ
小樽であんかけ焼きそばというと、たいてい駅の周りの話になります。小樽チャンネルでも、2018年に梁川商店街の東香楼でいただいた一皿や、2025年に紹介した駅近くの龍鳳のように、街なかの店を取り上げてきました。中華の匂いのする店内で、常連の話し声を聞きながら食べる。あれはあれで小樽らしい時間です。
ただ、海際で食べるあんかけ焼きそばには別の味わいがあります。埠頭というのは、もともと働く場所であり、釣り人の場所でもありました。2016年の春に小樽港の埠頭をのぞいたときは、寒い日でも竿を出す人が次々と車で集まってきていました。カレイだ、ヤリイカだと教わったのを覚えています。そういう場所の近くで、湯気の立つ皿を前にして、外の水面をぼんやり眺める。観光地の顔をした小樽ではなく、港町としての小樽の顔がそこにあります。
あんかけ焼きそばは、どの店で食べても土台の作りは似ています。だからこそ、どこで食べるかで印象が変わるのだと思います。街の真ん中で人の声に囲まれて食べる日もあれば、海のそばで黙って食べたい日もある。私はどちらも小樽の味だと思っています。
